Q6.チェーンの伸びについて教えてください。

チェーンの伸びは、以下の3つが考えられます。

  • 弾性伸び
  • 塑性伸び
  • 摩耗伸び

 

■弾性伸び・塑性伸び

弾性伸び、塑性伸びは一般的な金属材料の特性とほぼ同じです。下図参照ください。
チェーンに引張荷重を加え始め、どんどん荷重を大きくしてゆくと、ある荷重までは弾性変形(弾性伸び)となり、荷重を除くことで、ほぼ元の長さに復元します。
ある荷重を超えると、荷重を除いても、元の長さに復元しなくなり伸びたままの状態となります。これが塑性変形(塑性伸び)となります。
さらに荷重を大きくしていくと、ついにはチェーンが完全に切れることになります。この時の値がチェーンの引張強さとなります。



吊り下げの場合、搬送物の有無で弾性伸び量が変わり、その結果、停止位置がずれることがあります。
停止精度の検討にチェーン弾性伸び率が必要な場合はお問い合わせください。

 

■摩耗伸び

摩耗伸びはスプロケット等に巻きつく時、およびスプロケットから出て行く時に、ピンとブシュが摺動し、
摩耗することで生じます。
言い換えると、引っ張られるだけでは摩耗伸びは生じないという事になります。
一般的に、チェーンを使用するにつれ、たるみ量が大きくなるようなチェーンの伸びは、この摩耗伸びが
主原因です。


 

一般的な動力伝達モデルにおいて、摩耗伸びを生じさせる位置を示したものが下図となります。



チェーンが一周する間に屈曲する位置はそれぞれのスプロケット入側出側の★4か所となります。
そのうち、たるみ側の2か所では張力が小さく、摩耗伸びに大きく影響するのは張り側の★2か所となります。
各リンクが張り側の★2か所を通過する際に、ピンとブシュが摺動し、その結果、ピン・ブシュが摩耗してチェーン全体の摩耗伸びとして現れます。
図は、駆動従動スプロケット各1個の場合のモデルですが、アイドラスプロケットやガイドシュー等を複数設ける場合があります。
その場合でも、大きな張力が生じている位置での屈曲を少なくするよう、アイドラやガイドシューの配置を工夫することで、チェーンの摩耗伸びを抑えることが出来ます。

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