Q11.チェーンの選定の方法、強度を示す値にはどのような関係がありますか?

以下にそれぞれの説明を示します。

1 平均引張強さ チェーンが切れるまで引っ張った時の荷重です。よく使われる単位は、kN、kgfです。
「Q6.チェーンの伸びについて教えてください。」の項のグラフにあるように、切れる前からチェーンの塑性変形が始まっていますので、この値までチェーンが使用できるわけではありません。
引張強さ試験を数増しして、平均値を求めたものが平均引張強さです。
※引張強さ試験を行えないような特殊チェーンや大型チェーンについては、この値は計算値となります。
2 最小引張強さ 多くの引張強さデータを統計的に処理し、安全サイドに決めた引張強さです。
よく使われる単位は、kN、kgfです。
この値と理論使用荷重の比を求め、規定された安全率と比較する設計方法があります。(ここでは、便宜的に「引張強さに対する安全率」と称します。)
法規等に定められた安全率との比較には本値を使用してください。
安全率○○以上の○○の数値次第で、そのチェーンにとって余裕のある設定となったり、ぎりぎりの選定となったりします。
※引張強さ試験を行えないような特殊チェーンや大型チェーンについては、この値は計算値となります。
3 最大許容張力 チェーンの疲れ限度を基にして決められた、使用できる限界の強度です。よく使われる単位は、kN、kgfです。
実際の選定ではこの値に各種係数を乗じ、これと理論使用荷重を比較して使用可否を判断します。
(低速選定法)
4 伝動能力表 表に示す値は動力値(kW)です。疲れ限度、ブシュやローラの衝撃、摺動部の焼き付き、摩耗を考慮した表となっていますので、汎用性に優れています。
ただし、この表の作成には膨大な試験データを必要とするので、特に市場性の高い汎用的なチェーンのみ伝動能力表があるのが通常です。

 

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